「庭見せ」に飾られる山海の恵み。 [長崎くんち]
長崎くんちの「庭見せ」に飾られる「山海の恵み」には、鯛、伊勢エビ、あわび、サザエ、
栗、ザクロ、旭栄堂の栗饅頭、万月堂の桃カステラなどの定番がある。
いずれも、ご贔屓筋から出演者に贈られた品だが、その巨大さに驚く。
桃カステラや栗饅頭は長崎を代表する老舗の特製で、直径30センチ以上もあろう。
海産物は生き物ばかりで、くんち以外には見たことが無いような大物が揃えられる。
どれもこれも長崎人の心意気である。
(訂正)先日の「庭見せ」ブログに2つの誤りがありました。
①今年の踊り町は7ヶ町ではなく、6ヶ町、(上町、油屋町、元船町、今籠町、鍛冶屋町、筑後町)です。
②筑後町の「蛇踊り」は、正しくは「龍踊り」で「玉使い」は「宝珠衆」、「蛇衆」は、「龍頭衆」~「二番衆」
~「龍尾衆」と呼ばれるそうです。





長崎くんち「庭みせ」。絢爛豪華な飾り付け。7日から本番。 [長崎くんち]
375年の歴史を持つ「長崎くんち」の奉納踊りなどは、国の民族無形重要文化財に
指定されている。
10月7日から9日までの3日間は、龍踊り、宝船、川船、本踊り、など今年は6ヶ町の
踊り町がそれぞれの伝統芸能に磨きをかけて登場する。
踊り町は、7年毎に巡ってくるので、長崎くんちの全てを観るには、7年連続観覧が
必要となる。
今年の演し物の一番人気は、恐らく筑後町の「龍踊り」であろう。
青龍2体、白龍1体の計3体がドラやラッパや太鼓などを使って雷鳴を模した大音響が
轟く中を乱舞する。
月に見立てた金色の玉を、使い手が上手に操る。その玉を求める大龍は、1体につき
10名の龍衆が生きた大龍のように、高く低く体を波打たせ、捻らせながら玉を追う。
30人の龍衆の早変わりなどが観られるかも知れない。
3日は、各踊り町の出し物、傘鉾、衣装などのほか、お祝いの品々のすべてを飾り付けて
市民に公開し、観覧に供する「庭見せ」であった。
「庭見せ」とは、キリシタン弾圧の頃、広く自宅を公開し、何も隠し物はありません
と庭の中まで開けっぴろげて見せた事に由来しているらしい。
数年前までは、「庭見せ」の場所毎に、「振る舞い酒」が出され、無料接待が普通で
庶民を喜ばせていたが、酒酔い運転追放を理由に今はその風習が無くなり、
寂しくなった。





片渕3丁目秋祭りに「子ども御輿」。 [長崎くんち]
今日9月26日は、「片渕3丁目の秋祭り」。
くるみ幼稚園のグラウンドを主会場に、夕刻から賑わう。
今年初登場するのが「子ども御輿」。
社会福祉法人日輪会「かたふち村」が多額の費用をかけ、鹿児島県の
専門店て製作された。
お諏訪さんでの入魂神事も済んで、出番を待っている。
子どもたちの元気溌剌とした勇姿を楽しみたい。




くんち375年展。感動を間近に。 [長崎くんち]
10月7日から9日までの3日間、長崎っ子を沸かせる「長崎くんち」が間近に
迫ってきた。
このところ恒例となっている「くんち展」が今年も「くんち375年展」として、
長崎歴史文化博物館で開催されている。
「受け継がれる伝統の技と美」のテーマで企画され、くんちの歴史に始まり、
傘鉾の垂れや衣装などに施された豪華な長崎刺繍や、傘鉾、川船、壇尻、
引き物、蛇などに中国やオランダなど外国の影響を受けながら発展してきた
長崎の職人の高度な技が観られる。
また、祭りを盛り上げるシャギリ、鉦、太鼓、銅鑼などの音にも焦点が当てられている。
くんちを描いた絵、ポスター、くんちの装い、踊り町の映像による紹介など、
くんちの感動がそのまま体現される。
ロビーには、立石 侃さんが制作された精巧なミニチュアくんちの全てが
「さるく見聞館」として展示され、入館者の足を止めていた。
また、踊り町の練習実演もあり、本番に向けた仕上がり状況を見物できる。
写真や映像に知人の姿も数多く、青ドッポの故・江副正幸さんの勇姿も生きていた。




早6月。「長崎くんち」の小屋入り。賀寿祝いもこの日。 [長崎くんち]
国指定重要無形民族文化財の「長崎くんち」は、6月1日から本番に向けての
練習が始まる。今年の踊り町(6ヶ町)や神輿守町などの関係者が、諏訪神社
にお参りして「清祓」を受け、10月7日~9日の例大祭(長崎くんち)本番までの
安全と成功を祈願する。
長崎では「小屋入り」と言う。
踊り町は、各戸の玄関に幕を張り、「シャギリ」とよばれる囃子太鼓や笛の音を
響かせながら町中をふれ回る。
お祓いを終えた踊り町の踊り子たちが、日傘をさして、73段の長坂を下る様子も、
この日の風情である。
また、長崎では、その年に賀寿を迎える人の健康と無事を祈り、親類縁者が
当人を連れて氏神様でお祓いを受ける日ともされている。
理容生活衛生同業組合梅ヶ崎支部(田口茂紀支部長)では、有志が相集って
お祝いをする良い風習が続けられ、この日は、還暦の中村正春さんと厄入りの
金子忠洋さんをお祝いした。
仲間の絆はこうした事の積み重ねで揺るぎないものになる。





賑町・くんち奉納踊りの樽開き。 [長崎くんち]
374年もの歴史を重ね、日本三大祭りの一つに数えられる
「長崎くんち」に、賑町は「恵比寿船」を奉納した。
引き物の中では、殆どが川船だが、恵比寿船は唯一の海船で
最大級の大きさと重さを誇る。
また、船頭が釣り上げる魚は、すべて生き鯛でしなる釣竿に
ピチピチ跳ねる勢いの良い鯛や蟹、伊勢エビに観客も度肝を
ぬかれた。主要な踊場で約20匹を釣り上げて、喝采を浴びた
幼い船頭を始め、出演者総勢190人が勢揃いして、15日に
樽開き(打ち上げ)が行われた。
平成20年度の踊り町7ヶ町を取り纏める幹事長を務めあげた
大岩会長は、町内の各担当委員長の労をねぎらい、網打ちの
幼児や宝来、宝栄の子ども船の船方、囃子方などを受け持った
総ての子どもたち一人一人にお祝いを贈った。
町中総てが主役となって大成功したくんち打ち上げに
時間が経つのを忘れた。





新大工町。くんち打ち上げ会。 [長崎くんち]
諏訪神社374年目の伝統を持つ「おくんち」に、曳壇尻と詩舞を納め
絶賛を博した新大工町は、「くんち」からちょうど1ヶ月目の11月7日に、
長崎夜景のベストビューポイントとされる西坂の丘の高級料亭「紅葉亭」
で総勢200人近くの関係者を一堂に集め、盛大な打ち上げ会を行った。
唯一来賓招待を戴いた私は、挨拶の冒頭にありったけの大きな声で
いきなり「モッテコーイ、モッテコイ。ショモーヤレ、ショモーヤレ」を連発して、
一気にくんち気分を盛り上げた。完璧な技を駆使して満足感に浸っている
曳壇尻の采振りや根曳きや鐘太鼓などの囃し方が、引き物無しで祭りを
演じた。また、鶴洲流の朗々とした吟に合わせて、詩舞を奉納した10人の
乙女たちは、それぞれのベストドレス姿で舞台上に一糸乱れぬ舞を再現した。
髪をキリリと結い上げた袴姿での詩舞も良かったが、それぞれの個性的な
ドレス姿での詩舞もまた気品のあるお色気が漂っていて、万雷の拍手を浴びた。
3時間に及ぶ大宴会は、更に7年後に巡ってくる踊り町に向けての新たな
トキの声でもあった。





「曳壇尻(ひきだんじり)」と「恵美須船」を追いかける。 [長崎くんち]
「チャンチャンチャン、チャンチャンチャン、チャンチャンチャン。
ヨーイ。ドンドン」と聴き慣れた調子の鉦とかけ声と太鼓の
音が次第に近づいて、急に大きくなった。
新大工町の「曳壇尻」が鍛冶屋町から榎津町通りへと
直角に曲がって来た。
くんち後日9日の午後7時ごろ、狭い通りに建ち並ぶ
小料理屋街の一軒一軒を「庭先回り」している。
呈上札を配る帳面方の山本さん、長采の福田康昭さん、
采振の三根さん、佐藤さん、山口さん、根曳の最高齢者で
鉄人医師の行成先生など知り合いの顔に玉の汗が
光っている。
「ご苦労さん」と声をかけると、もう次には、「ホーエイ。
ホーライエイ」と賑町の「恵美須船」が迫ってきている。
この船の長采は川下雅弘さん、副采の幸(さいわい)さん
の姿も見える。
ついつられて数軒を追っかけた。
「9時半まで回る」と、極限の疲労を乗り越えて最後の力を
絞り出しているかのようだ。
マラソンランナーがグラウンドに戻り、ゴールを目指し最周回を
疾走する姿にも似て胸が熱くなった。
すぐ近くに店を覗く子どもの絵にも、背に「もってこーい」が
描かれていて「くんち」らしく笑いを誘った。





庭先回り。深夜のお旅所。 [長崎くんち]
「くんち」中日の8日は、各踊り町とも「庭先回り」で忙しい。
何しろ1ヶ町あたり4,000万円近くもかかる費用の調達には、
ご贔屓の玄関先で、諏訪神社の本番で奉納した踊りや出し物の
芸の一部を披露し「御花」を頂戴する「庭先回り」は欠かせない。
フル出演が、メインの諏訪神社踊り広場のほか、市公会堂前広場、
お旅所、八坂神社、中央公園など3日間で昼夜10回に及び、
その合間での「庭先回り」にも全く気が抜けない。
長崎の中心市街地は、夜遅くまで、笛、鉦、太鼓、三味線の音に
包まれる。
諏訪神社、住吉神社、森崎神社のお神輿3体が、大波止の「お旅所」
に2泊3日を過ごされる間は、踊り町と神輿守町が昼夜交代で24時間
警護する。
さすがに深夜ともなれば参拝客も疎らとなり、周辺の500軒を数える
臨時露天商も殆ど閉店している。
験をかつぎ「くんちみくじ」をひいた。「大吉」と出た。
万事これ良しと「私の庭先回り」も終え、千鳥足を我が家へむけた。





オランダ漫才。曳壇尻。川船。龍踊り。獅子舞。恵美須船。本踊り。 [長崎くんち]
新橋町の本踊りとオランダ漫才、諏訪町の青龍、白龍による
双龍の舞、新大工町の詩舞と曳壇尻、金屋町の本踊りと獅子舞、
榎津町の川船、西古川町の櫓太鼓に土俵入り、賑町の恵美須船。
7年に一度巡って来る踊り町、今年の出演は7ヶ町、「長崎くんち」
の奉納踊りや出し物を全部観るには、連続7年かかる。
今年もまた、町の総力をあげて、全く独創的な奉納となった。




